『天然杉の島』 植物研究者 伊藤 邦男
佐渡は日本海側の名うての天然杉の島、舟木伐る山をもつ“舟木の島”でもあった。『続日本紀』 (757年)に大和朝廷が奥羽征伐のため「越前、越中、越後、佐渡の四国に船百艚を征狄所に送らせた」の記録がある。私たちの知る杉林のほとんどは植林された杉林である。いっせいに伐採され、いっせいに植林される。樹齢が同じだから樹姿も樹高も同じ。臨床は暗く臨床には植物は全く育たない。
それに対して天然杉の森には、親杉とそれをとり囲む小杉がみられる。 天然杉の森には、親杉とそれをり囲む小杉がみられる。 林床は明るく春はユキザサがみられる。 天然杉のまとまった林は大佐渡山脈の北西斜面と、その分布は限られている。特にタタラ峰(ドンデン・海抜900m前後)から大倉越え(740m)に至る海府側斜面には、500㌶の天然杉林がみられる。 大佐渡山脈の北西斜面は霧の非常に発生する地域。どんな晴れた日でも夕方から霧立つ沢となり全山霧におおわれる。私はこの光景を見るたびに、この霧が命の水となり天然杉の森を育てたと思う。
【佐渡の花 カラー携帯版 220ページ】 解説:伊藤邦男 写真:村上博實 2,100円(消費税・送料込み)
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